9月30日(木) 10:00〜12:00,13:00〜17:00
担当:小林由紀(東京大学 進化認知科学研究センター)・池田功穀(東京大学 総合文化研究科)
講義内容:脳波測定は、ヒトの脳から生じる電気活動を記録し観察する方法である。午前は、脳波の基礎知識と測定手法、解析手法について簡単に講義する。午後は4、5人のグループに分かれて、脳活動の計測と簡単な解析を体験する。
10月1日(金)10:00〜17:00 担当:新井学(東京大学 総合文化研究科)・大石衡聴(理化学研究所)・神長伸幸(理化学研究所)
講義内容:
1コマ目(担当 新井):
人はどのようにして文を理解しているかをテーマとし、文理解研究における重
要な問題、また過去の研究成果をまとめて紹介する。中でも(1)漸進的処理
(Incremental process)によって起こる解釈の曖昧性、そしてその曖昧性の解消
方法、(2)Garden-path modelに代表されるserial parser とConstraint-
based modelに代表されるparallel parserによる言語情報の処理過程における違
い、(3)既に与えられた情報に対するプロセス(integration)と次に来ると
予測される情報に対するプロセス(prediction)の二つが文理解においてどのよ
うに働いているか、といったトピックを重点的に扱う。
2コマ目(担当 新井 大石 神長):
言語を理解するときの眼球運動計測実験の体験を行う。具体的には、話し言葉の理解課題および読み理解課題を実施する。そして、課題遂行中の注視点の変化を自分のデータを使って観察する。その際、眼球運動測定や課題実施で注意すべき点を説明する。
3コマ目(担当 神長):
2コマ目で体験した眼球運動計測実験に関して、測定の原理と妥当性を説明する。また体験で得られたデータを材料に具体的な解析手続きを概説する。 さらに、過去の研究を紹介するとともに、眼球運動計測をどのように用いると言語理解過程に関する仮説を検討できるのかを議論する。
4コマ目(担当 大石)
前日の脳波測定実習および本日の言語理解研究の概論で学んだことを踏まえて、脳波を測定することでどのように人間の言語理解能力の解明に貢献する ことができるのかを、実際の研究例を紹介することを通して講義する。特に、眼球運動測定法との対比や、通言語的(cross- linguistic)な比 較を通して、脳波測定を用いた言語理解研究の魅力を伝えることを目標とする。
10月5日(火) 10:00〜13:00
担当:高橋麻理子 (東京大学 進化認知科学研究センター)
講義内容:行動生態学の視点に立ち、動物と人間の音声コミュニケーションの特徴について概観する。まず、動物が用いる音声の多様性、その役割や進化について解説する。次に、動物研究と同じ手法で人間の音声を分析・考察した研究をいくつか紹介し、音声解析ソフトを使った実習で、自分の声から音声パラメータを取り出す手続きを体験する。最後に、小鳥の歌の「文法」の研究と、そこから生まれた人間の言語の起源に関する最近の仮説を紹介する。
10月5日(火) 14:00〜17:00
担当:松田剛 (東京大学 情報学環)
講義内容:非侵襲脳活動計測法の1つである近赤外分光法(光トポグラフィ)について、その原理や特長、解析方法などを紹介した後、グループに分かれて前頭前野の活動計測を体験してもらう。教科書的な内容だけでなく、実際に計測する際に直面する様々な問題とその対策についても言及する。
|