教育 2021年

2021年度 Aセメスター 集中講義【オンラインでの講義と実習】

広域科学専攻生命環境系「進化認知科学」(責任教員:岡ノ谷 一夫)
言語情報科学専攻「言語情報科学特別講義I」(責任教員:広瀬 友紀)
学融合プログラム「進化認知脳科学演習」(責任教員:岡ノ谷 一夫)

日時

2021年9月10日(金),9月13日(月),9月14日(火)

場所

仮登録者にはオンライン配信のURLを後日通知します。

講義概要

進化認知科学研究センターは、21世紀COEプログラム「心とことば ― 進化認知科学的展開」 (2003~2007)の成果を引き継ぎ、一つの専門分野にとどまらず、複眼的視点と複数の研究手法に通じた若手研究者の育成を目指し、領域横断的な人間総合科学を構築することを目標として活動を行っている。 本講義は、COEの活動の一環として提供されていた授業と同趣旨で、進化認知科学センター関連メンバーを中心に提供される大学院向け教育科目である。この科目では、心とことばに関わる諸領域の最新の研究成果に関する講義と、それぞれの領域の研究法の解説・演習を組み合わせて、異分野交流をはじめる手がかりを提供する。

履修上の注意

これまでに本講義を既に受講している場合は、本年度の受講は認めない
この授業は、9月10日(金),9月13日(月),9月14日(火)に実施する。講義内容の詳細等については、このウェブサイトに順次掲載する。

履修登録方法

履修を希望する学生は、以下の4点を厳守して下さい。
(1)仮登録が必要です。8月20日(金)までに【仮登録フォーム】から必要事項を入力してください。→締め切りました。
(2)履定員は40名です(希望者多数の場合は抽選の上、仮登録〆切後に通知)。受講者には複数の講義のレポート提出が義務付けられます。聴講のみ希望の方はその旨明記してください。その場合、実習には参加できないかもしれません。
(3)9月10日(金)の授業に必ず出席し、授業実施に関する説明を受けて下さい。
(4)正式な履修登録は、授業終了後、Aセメスターの科目登録期間に忘れないように登録して下さい。

レポート課題について

それぞれの担当者からの課題合計6つのうち4つを選択する。
〆切: 10月15日(金)午後5時
提出先: 橘のメールアドレス(下記)

この件に関する問い合わせ先

進化認知科学研究センター 助教
橘 亮輔
rtachi at ecs.c.u-tokyo.ac.jp (“ at ”を”@”に置き換えてください)
URL:  http://ecs.c.u-tokyo.ac.jp/wp/education/

講義内容

※オンラインで講義と実習を行います。講義初日までにソフトウェアのインストールや実験データのダウンロードなどの事前準備が必要です。事前準備の内容については、仮登録者にお知らせします。


9月10日(金)10:00~13:00/14:00~17:00 <人の認知能力とfMRI脳活動計測>

担当:橘 亮輔 (東京大学 進化認知科学研究センター)、中村 優子
題目:聴覚と運動を統合する脳メカニズム
内容:fMRIを用いた脳活動計測研究の例として、聴覚情報を運動制御に統合する神経基盤に関する研究を紹介する。発話や音楽演奏には自分で作り出した音を聞きながら運動をうまく制御しなければならない。これを可能にする神経メカニズムの研究について概説する。

担当:中村 優子 (東京大学 人間行動科学研究拠点)、橘 亮輔
題目:MRI装置を用いた脳活動計測の基礎と実践
内容:脳機能画像研究の概略・歴史と機能的MRI(fMRI)の原理を解説する。また、fMRIをもちいた計測実験の実例をしめし、データ解析を体験する。得られた結果について脳活動パターンから何が言えるかを議論する。


9月13日(月)10:00~13:00/14:00~17:00 <言語の知覚認知過程と研究手法>

担当:小林 由紀 (東京大学 進化認知科学研究センター)
題目:言語の脳内処理 ― 脳波計測
内容:脳波測定はヒトの脳から生じる電気活動を記録し観察する方法である。特に,特定の刺激に関連して生じる事象関連電位(event-related potentials)は,その刺激の処理過程を反映すると考えられるため,人間の言語処理過程を解明するのに非常に有用である。前半は脳波の基礎知識と測定手法と解析手法,さらに,言語処理過程を脳波測定によってどのように解明するかについて実際の研究例を元にして講義する。後半は脳波測定の実際の場面を紹介し、データ解析について解説する。

担当:陳 姿因(東京大学 総合文化研究科)
題目: visual world paradigm ― 眼球運動計測
内容:我々人間の目の動きは随意的ではなく、高次の認知的プロセスと密接に関わっている。目がいつ、どこに向けているかは即時処理や予測処理の指標になる。Visual world paradigm実験法とは、音声を聞きながら、複数の視覚提示の中からターゲットを探し出す課題で、特に心理言語学で抽象的な認知プロセスを推定するのによく利用される方法の一つである。授業の前半にはvisual world paradigm実験の原理とデザインする際の注意点を概説する。後半には実際の実験を紹介し、データ分析の実習をおこなう。統計フリーソフトRをもちいる。


9月14日(火)10:00~13:00/14:00~17:00 <動物の行動心理実験・神経活動記録>

担当:上條 槙子(東京大学 総合文化研究科)
題目:行動からみる比較認知科学
内容:ヒト以外の動物を対象に研究し比較することで、ヒトの認知機能の仕組みや、いかにして進化してきたのかを明らかにしていくことが可能となる。また、動物を研究することにより、複雑に見えるヒトの行動の基礎となるものが理解されるようになってきた。本講義では、動物を対象に研究をすることで発見された行動の原理から、それらを応用してどのように動物の認知機能を研究してきたのか、研究例を紹介しながら解説する。後半では実際にラットを用いた行動実験例を紹介し、実験計画やデータ解析を体験する。

担当:田尾 賢太郎 (東京大学 定量生命科学研究所)
題目:げっ歯類の海馬における空間情報表現
内容:わたしたちは、空間の中で自分が位置する場所を瞬時に判別できる。このような空間と場所の認識にかかわる機構として、脳内の海馬と呼ばれる領域において、動物がある特定の場所に位置するときにだけ活動する「場所細胞」の存在が報告されている。本講義では、自由行動下の動物をもちいた電気生理学実験の技術的発展と、それにより解明されてきた海馬における空間情報表現について概説するとともに、実際にマウスの背側海馬より記録された神経活動のデータ解析を体験する。