9月14日(水)10:00~13:00 担当:森 千紘 (東京大学 総合文化研究科) 教室:3号館 113室 講義名:発声学習:小鳥のさえずりの神経行動学 講義内容:ことばを話すためには、聴覚経験により新たな発声パターンを習得する発声学習能が不可欠である。多くの動物は発声によるコミュニケーションを行うが、発声学習により複雑な発声パターンを獲得可能なのは、哺乳類のごく一部と鳥類の約半数のみである。本講義では、小鳥のさえずりを取り上げ、ヒトの言語獲得との共通点やその神経メカニズムについて解説し、それに関わる神経行動学研究を紹介する。実習として小鳥の発声行動の観察・記録と簡単な解析を行う。 9月14日(水)14:00~17:00 担当:中谷 裕教 (東京大学 進化認知科学研究センター) 教室:3号館 113室 講義名:エキスパートの認知科学、fMRIを用いた脳活動計測の基礎 講義内容:前半は、エキスパートを対象にして行った研究を題材として直観に関わる認知機能の特性について講義する。コンピュータと脳はともに情報を処理するシステムであるが、その特性は大きく異なる。例えば、大量のデータを事前に定められたプログラムに従って素早くかつ正確に処理することはコンピュータの得意とすることであるが、複雑な事柄を経験や知識を頼りに直観的に把握することはできない。直観をキーワードとして脳における認知情報処理について考える。また、認知特性の評価に関する実験を体験する。後半は、fMRIを用いた脳活動計測の基礎について概説する。 9月15日(木)10:00~13:00 担当:柴田 奈津美 (東京大学 総合文化研究科) 教室:3号館 113室 講義名:子供の言語獲得 講義内容:子供は生後数年のうちに母語を獲得することができるが、その過程で大人からの言語入力を単に受動的に聞き入れているわけではなく、積極的に言語的情報を取り入れていると言われている。本講義では、生後間もない乳幼児が母語を獲得するまでの言語発達に関する重要な知見を紹介する。特に生後1年までの乳幼児と5~6歳の子供に焦点を当て、乳幼児や子供の言語知識を調べる実験研究から、人間に備わっている言語獲得能力について考察する。 9月15日(木)14:00~17:00 担当:小澤 幸世 (東京大学 総合文化研究科) 教室:3号館 113室 講義名:光を用いた認知・情動の脳活動計測 講義内容:脳の血液変化量を非侵襲的に測定できる近赤外分光法(NIRS)は、安全性が高く、被験者に与える拘束が少ないことなどから、発達研究や各種の応用などにおいて有用である。前半は、NIRSの基礎知識、測定・解析方法などを紹介する。後半は、グループに分かれて、脳活動計測を体験してもらう。認知・情動に関する脳活動の計測の諸問題や、その対策などについて説明する。 9月16日(金)10:00~13:00 担当:小林 由紀 (東京大学 進化認知科学研究センター) 教室:3号館 116室 または 16号館126/127室 (調整中) 講義名:言語の脳内処理 – 脳波による脳機能計測実習 講義内容:脳波測定はヒトの脳から生じる電気活動を記録し観察する方法であるが,人間の言語処理過程を解明するのに非常に有用である。前半は脳波の基礎知識と測定手法と解析手法,さらに,言語処理過程を脳波測定によってどのように解明するかについて実際の研究例を元にして講義する。後半は4,5人のグループに分かれて,言語課題を用いて脳波の計測と解析を体験する。 9月16日(金)14:00~17:00 担当:大西賢治 (東京大学 総合文化研究科) 教室:3号館 113室 講義名:動物行動観察法:行動を客観的に測るための手法 講義内容:ヒトの心の成り立ちを理解する上で、他の動物種と比較し、進化の視点を取り入れて考察することは有効である。ヒトと動物の行動を同様の視点から比較するために、行動を客観的に記録・分析するための手法が用いられてきた。本講義ではまず、ヒトにいたる霊長類の社会性、認知能力の進化について、重要トピックを概観する。その後、動物研究の中で、どのような行動観察法が確立され、用いられてきたのかを解説する。そして、ヒトやその他の動物の行動を記録したビデオを用いて、基礎的な行動観察法を体験する。最後に、同じ手法を用いることで、ヒトと動物を有効に比較した研究例を紹介する。 |