9月8日(火)10:00~13:00 担当:森 千紘 (東京大学 総合文化研究科) 講義名:発声学習:小鳥のさえずりの神経行動学 講義内容:ことばを話すためには、聴覚経験により新たな発声パターンを習得する発声学習能が不可欠である。多くの動物は発声によるコミュニケーションを行うが、発声学習により複雑な発声パターンを獲得可能なのは、哺乳類と鳥類の数種のみである。本講義では、小鳥のさえずりを取り上げ、ヒトの言語獲得との共通点やその神経メカニズムについて解説し、それに関わる神経行動学研究を紹介する。 9月8日(火)14:00~17:00 担当:中谷 裕教 (東京大学 進化認知科学研究センター) 講義名:直観の認知科学 講義内容:エキスパートを対象にして行った研究を題材として、直観に関わる認知機能の特性や脳活動について講義する。コンピュータと脳はともに情報を処理するシステムであるが、その特性は大きく異なる。例えば、大量のデータを事前に定められたプログラムに従って素早くかつ正確に処理することはコンピュータの得意とすることであるが、複雑な事柄を経験や知識を頼りに直観的に把握することはできない。直観をキーワードとして脳における認知情報処理について考える。また、認知特性の評価に関する実験を体験する。 9月9日(水)10:00~13:00 担当:高橋 麻理子 (東京大学 進化認知科学研究センター) 講義名:動物音声科学 講義内容:「動物と人間の音声コミュニケーションの特徴について,主に行動生態学の視点から概観する。はじめに,動物が用いる音声の多様性,その役割や進化について解説する。次に,動物研究と同じ手法で人間の音声を分析・考察した研究を紹介し,音声解析ソフトを使って自分の声から音声パラメータを取り出す手続きを体験する。最後に,人間に近縁な類人猿の「言語研究」について簡単に紹介する。 9月9日(水)14:00~17:00 担当:柴田 奈津美 (東京大学 総合文化研究科) 講義名:子供の言語獲得 講義内容:子供は生後数年のうちに母語を獲得することができるが、その過程で大人からの言語入力を単に受動的に聞き入れているわけではなく、積極的に言語的情報を取り入れていると言われている。本講義では、生後間もない乳幼児が母語を獲得するまでの言語発達に関する重要な知見を紹介する。特に生後1年までの乳幼児と5~6歳の子供に焦点を当て、乳幼児や子供の言語知識を調べる実験研究から、人間に備わっている言語獲得能力について考察する。 9月10日(木)10:00~13:00 担当:小林 由紀 (東京大学 進化認知科学研究センター) 講義名:言語の脳内処理 – 脳波による脳機能計測実習 講義内容:脳波測定はヒトの脳から生じる電気活動を記録し観察する方法であるが,人間の言語処理過程を解明するのに非常に有用である。前半は脳波の基礎知識と測定手法と解析手法,さらに,言語処理過程を脳波測定によってどのように解明するかについて実際の研究例を元にして講義する。後半は4,5人のグループに分かれて,言語課題を用いて脳波の計測と解析を体験する。 9月10日(木)14:00~17:00 担当:小澤 幸世 (東京大学 総合文化研究科) 講義名:光を用いた認知・情動の脳活動計測 講義内容:脳の血液変化量を非侵襲的に測定できる近赤外分光法(NIRS)は、安全性が高く、被験者に与える拘束が少ないことなどから、発達研究や各種の応用などにおいて有用である。前半は、NIRSの基礎知識、測定・解析方法などを紹介する。後半は、グループに分かれて、脳活動計測を体験してもらう。認知・情動に関する脳活動の計測の諸問題や、その対策などについて説明する。 |