9月18日(火)10:00~13:00 担当:小林 由紀 (東京大学 進化認知科学研究センター) 講義名:言語の脳内処理 – 脳波による脳機能計測実習 講義内容:脳波測定はヒトの脳から生じる電気活動を記録し観察する方法であるが,人間の言語処理過程を解明するのに非常に有用である。前半は脳波の基礎知識と測定手法と解析手法,さらに,言語処理過程を脳波測定によってどのように解明するかについて実際の研究例を元にして講義する。後半は4,5人のグループに分かれて,言語課題を用いて脳波の計測と解析を体験する。 9月18日(火)14:00~17:00 担当:郷路 拓也 (津田塾大学 学芸学部 英文学科) 講義名:意味に関する構造的制約と第一言語獲得 講義内容:人間言語の機能は形式と意味を結びつけることだが、ある言語形式が持つ意味は、その形式を構成する部分の意味と、各部分同士の結びつけられ方によって規則的に決定される。本講義では、その「結びつけられ方」、すなわち「構造」によって決定される意味の一側面に焦点を当て、このような人間言語に特有な規則性がどのように幼児によって獲得されるかを概観する。 9月19日(水)10:00~13:00 担当:柳原 真 (東京大学 総合文化研究科) 講義名:鳴禽類における発声学習の神経機構 講義内容:子供がことばを学ぶように、鳴禽類の幼鳥は生後の限られた時期に「さえずり」と呼ばれる発声を学習する。鳴禽類の脳内にはこのさえずりに特化した神経回路が明瞭に存在することから、これまで鳴禽類を対象とした発声学習に関する研究が盛んにおこなわれてきた。本講義では、行動学や神経科学の様々な研究手法によって明らかになってきた発声学習の神経機構について概説するとともに、実際に動物脳内の神経細胞から神経活動を計測する生理学実験も体験する。 9月19日(水)14:00~17:00 担当:勝 野吏子 (東京大学 総合文化研究科) 講義名:社会性の比較認知・行動学 講義内容:ヒト以外の動物を研究することで、ヒトのこころが他の種とどれほど共通しており、どこが独自であるのかといった、進化的な側面を知ることができる。本講義では、主に霊長類やげっ歯類に関して、社会場面での認知と行動について解説する。研究手法として、統制された条件の中で動物の認知能力を調べる行動実験や、社会の中での個体同士のやりとりを記録する、行動観察を紹介する。後半では、行動観察の手法を学んだうえで、動物の社会行動に関する映像を使って、行動観察実習を行う。 9月20日(木)10:00~13:00 担当:中村 優子 (東京大学 人間行動科学研究拠点), 中谷裕教 講義名:MRI装置を用いた脳活動計測の基礎と実習 講義内容:磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging, MRI)装置は核磁気共鳴現象を用いて脳の構造や活動を非侵襲的に計測することができるため、ヒトを対象とした脳科学研究において広く用いられている。本講義ではMRI装置を用いた脳活動計測の基礎および安全について概説し、その後MRI実験室にて脳活動計測の実習を行う。 9月20日(木)14:00~17:00 担当:中谷 裕教 (東京大学 進化認知科学研究センター), 中村優子 講義名:エキスパートの直観の神経基盤 講義内容:MRI装置を用いた脳活動計測研究の例として、エキスパートの直観の神経基盤に関する研究を紹介する。直観的な認知や判断はエキスパートの認知機能の特徴の一つである。前半はチェスマスターを対象にして行われた認知科学的な研究を題材として直観の認知的メカニズムについて概説し、後半に直観に関わる神経基盤について概説する。またその後、午前中に行なった実習の結果を紹介する。 |