第1回 10月2日(月) 「動物の音声・人間の音声」2, 3限 <生物音響学入門> 担当:角恵理 (東京大学21世紀COE心とことば:進化認知科学的展開) 講義:演習内容:動物達が用いる音声コミュニケーションの多様性(発音メカニズム、認知メカニズム、音響構造)を紹介し、動物の音声が担う役割について解説する。また、進化を考える上で重要となる生物学的概念を紹介し、動物の音声の進化について考察する。後半では、実際にコオロギの発音行動を観察 し、コオロギの音声を題材として分析ソフトを用いての音声分析とデータ解析という一連の手続きを体験する。 4, 5限 <人間の声の特徴とその知覚> 担当:川島尊之 (広域科学専攻) 講義:人間の声の物理的な性質とその知覚とを結び付けようとする試みは多岐にわた る.授業では,特に知覚心理学におけるそうした試みと,そこからこれまでに得られた知見について,実習とデモンストレーションを交えながら紹介する. 具体的には,例えばホルマント周波数などの声の音響的な特徴について発声の仕組みとともに紹介し,その内容を踏まえて特に音韻レベル,単語レベルの音声知覚の仕組みに示唆を与える代表的な知覚現象について古典的なものを述べる. 第2回 10月3日(火) 「言語と音楽の認知処理 – 脳波による脳機能計測実習」2, 3, 4, 5限 担当:大塚明香・小林由紀(東京大学21世紀COE心とことば:進化認知科学的展開) 講義:演習内容:脳波測定は、ヒトの脳から生じる電気活動を記録し観察する方法である。本実習の前半では、脳波の基礎知識と測定手法、人間の言語/音楽処理に関わる脳波について講義する。後半では、5、6人のグループに分かれて、言語課題あるいは音楽課題遂行中における脳活動の計測を体験する。 第3回 10月4日(水) 「人間の言語音声とその規則性」2, 3限 <言語音の法則性とその計算理論> 担当:田中伸一(言語情報科学専攻) 講義:演習内容:人間言語の構造や仕組みはランダムに決められているわけで はなく,ある種の法則に従っている。それはどの言語の話者であれ当然のよう に獲得し,それに従って言語を用いているにもかかわらず,自然法則の場合と 同様に普段意識されることは全くない。しかし,法則性があるからこそ,母語 話者にとってその獲得に大差は見られないのである。ただし,その法則性には 全ての言語に共通する部分(普遍性)と,言語ごとに異なる部分(多様性)が あり,その異なる部分の決め方が言語の個性を形成している。 本講義では,こうした人間言語で成り立つ法則に基づいてその構造や仕組み を解き明かす文法理論 — 最適性理論の世界へと誘い,特に音韻や形態に関 わる言語現象を観察しながらその法則性について考察しつつ,人間言語の普遍 性や多様性がどのように導かれるかについて講義する。特に今回は,言語音の 異化現象の類型論に焦点を当てる。 4, 5限 <自然言語における、イントネーションと意味計算の間の関係> 担当:矢田部修一(言語情報科学専攻) 講義:演習内容:まず、単語の意味を結びつけて文全体の意味を計算するため の、(言語学者が想定しているような)離散的な規則体系の概略を解説する。 次に、その規則体系と、イントネーションという、一見したところ離散的でな いものとがどう関連しているかについて検討する. |