教育活動

2024年度 Aセメスター 集中講義

広域科学専攻  「進化認知科学」(責任教員:香田啓貴)
言語情報科学専攻「言語情報科学特別講義I」(責任教員:広瀬友紀)
学融合プログラム「進化認知脳科学演習」(責任教員:香田啓貴)

日時

2024年9月25日(水)、9月26日(木)、9月27日(金)

場所

駒場Iキャンパス3号館113教室 他
※状況によって、一部オンラインで実施する可能性もあります。

講義概要

進化認知科学研究センターは、21世紀COEプログラム「心とことば―進化認知科学的展開」(2003〜2007)の成果を引き継ぎ、一つの専門分野にとどまらず、複眼的視点と複数の研究手法に通じた若手研究者の育成を目指し、領域横断的な人間総合科学を構築することを目標として活動を行っている。 本講義は、COEの活動の一環として提供されていた授業と同趣旨で、進化認知科学センター関連メンバーを中心に提供される後期課程・大学院向け教育科目である。この科目では、心とことばに関わる諸領域の最新の研究成果に関する講義と、それぞれの領域の研究法の解説・演習を組み合わせて、異分野交流をはじめる手がかりを提供する。

履修上の注意

(1)過去に同科目を履修した学生は、再度履修することはできません。
(2)仮登録が必要です。9月6日(金)までに、【仮登録フォーム】から必要事項を入力して下さい。
(3)履定員は10(または20)名です。希望者多数の場合は抽選の上、仮登録〆切後に通知します。受講者にはレポート提出が義務付けられます。聴講希望の方は、受講者が多い場合、実習パートに参加できない可能性があります。
(4)初回の授業に必ず出席し、授業実施に関する説明を受けて下さい。
(5)正式な履修登録は、授業終了後、Aセメスターの科目登録期間中に忘れずにおこなって下さい。
(6)必要な事前準備や、予定の変更については、このウェブサイトや仮登録者へのメール連絡で順次お知らせします。開講1週間前まで更新される可能性があります。

レポート課題について

各担当者が用意する計6つの課題のうち、4つを選択して提出。
〆切 : 2024年10月28日(月)
提出先: 出席者へメールで通知済

問い合わせ先

進化認知科学研究センター
お問い合せフォーム

講義内容

※講義と実習を行います。講義初日までにソフトウェアのインストールや実験データのダウンロードなどの事前準備が必要です。詳しくは後日、仮登録者にメールでお知らせします。


9月25日(水)10:00~13:00 / 14:00~17:00

担当:香田 啓貴(総合文化研究科)
題目:ヒト以外の動物行動の観察
内容:ヒト以外の動物とヒトの行動や心理現象を比較することが、心の進化過程を推察する上で重要な手段となる。比較するための基礎項目として、ヒト以外の動物の行動の観察を実施する。行動の観察は、都内の学外等で行う可能性がある。

担当:舞草 伯秀 (進化認知科学研究センター)
題目:神経・精神疾患におけるMRI脳構造解析
内容:MRIを用いた脳構造解析は、神経・精神疾患における発症予測あるいはその進行動態を表す指標となり得る。特に画像解析技術の発達とともに、2000年代初頭より多施設臨床画像研究が盛んに行われるようになってきた。本講義では、主に神経・精神疾患における脳画像解析技術とともに、多施設研究で明らかになってきたMRIの機種間差の問題とそれに対するこれまでの研究について解説する。


9月26日(木)10:00~13:00 / 14:00~17:00

担当:陳 姿因 (会津大学 語学研究センター)
題目:言語処理の脳波計測―Event-related potentials
内容:脳波測定は、脳から自発する電気活動を記録して観察する方法である。特に、特定の認知刺激に関連して生じる事象関連電位(event-related potentials)は、人間の認知処理過程を解明するのに非常に有用である。授業の前半では、脳波計測の基礎原理と、言語処理に関する研究例を紹介する。後半では、実際に脳波室で計測方法を実習し、データ解析について解説する。なお、事前にUTokyoアカウントでMatlabをインストールしておくことをおすすめする。

担当:陳 姿因 (会津大学 語学研究センター)
題目:眼球運動計測―Visual world paradigm
内容:我々人間の目の動きは随意的ではなく、高次の認知的プロセスと密接に関わっている。目がいつ、どこに向けているかは即時処理や予測処理の指標になる。Visual world paradigm実験法とは、音声を聞きながら、複数の視覚提示の中からターゲットを探し出す課題で、特に心理言語学で抽象的な認知プロセスを推定するのによく利用される方法の一つである。授業の前半にはvisual world paradigm実験の原理とデザインする際の注意点を概説する。後半には実際の実験を紹介し、データ分析の実習をおこなう。事前に統計フリーソフトRをインストールしておくことをおすすめする。


9月27日(金)10:00~13:00 / 14:00~17:00

担当:中村 優子(進化認知科学研究センター)
題目:MRI装置を用いた脳活動計測の基礎
内容:脳機能画像研究の概略・歴史と機能的MRI(fMRI)の原理を解説する。また、fMRIをもちいた計測実験の実例をしめし、データ解析を体験する。得られた結果について脳活動パターンから何が言えるかを議論する。

担当:西村 剛 (大阪大学 人間科学研究科)
題目:音声解剖生理学の基礎
内容:ヒトを含む多くの陸棲動物が音声をつくる解剖学的・生理学的機構の概略を解説する。また、ヒトの声帯もしくは動物のモデル声帯の振動計測を行い、データ解析を体験する。得られた結果について、振動パターンの違いから何が言えるかを議論する。