研究部門
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人間進化学|心理言語科学|統合言語科学|計算言語科学|認知発達臨床科学
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人間進化学部門 (リーダー:長谷川寿一)
生物としてのヒトのゲノム構成は最近縁種であるチンパンジーのそれとわずか 1.23パーセントしか違わない。その遺伝情報のなかに、人間らし
さを進化させ た遺伝的変化が生じた。人間進化学部門では、ヒトとチンパンジーの間の比較ゲノム研究と比較認知研究を通じて、人間性の根幹にかかわる遺伝的変化の特定を
めざす。この研究にあたっては、旧来の自然人類学と文化人類学の枠組みにとらわれない人間進化学研究を推進する。言語に関しては、「ヒトはなぜ言語を持ち
得たのか」という問いに対し、「言語の成立を可能にした前適応はどのようなものであったか」を探求することで、言語の生物学的基盤を明らかにする。
2007年度研究プロジェクト
- 食行動に関する文化性と自然性
- 霊長類脳サンプルを用いた脳のプロテオーム解析
- ゲノムとストレス解析に基づくヒトと他霊長類の比較研究
- 動物音声科学:社会的信号としての音声
- パーソナリティ・意思決定スタイルに関する神経行動内分泌学的研究
- 覚醒チンパンジーを対象とした事象関連電位計測
- 自閉症児の顔認知に関する実験心理学的研究
- 人間性の進化的背景に関する化石記録を用いた実証的研究
- サバン症候群における特異的認知機能の認知神経科学的研究
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心理言語科学部門 (リーダー:繁桝算男)
言語使用に関わるこころの働きはどのようなものか、言語以外に関わる認知能力とどのような関係に立つのか、認知心理学と言語科学との共同による解明をめざ
す。具体的には、言語使用の意味論・語用論的側面の外界認知との関わり、統語的側面における演算処理のあり方等を、実験を通して解明する。また、非言語的
コミュニケーションと言語の認知的相互作用についても解明する。さらに、脳科学研究者との連携により、言語の心的メカニズムの脳内基盤を探る。「ヒトはな
ぜ言語を持ち得たのか」という問いに対し、「ヒトはどのように言語を用いているのか」という側面からアプローチする。
2007年度プロジェクト
- 人間の語彙処理と統語処理についての多角的・複合的な実験的検討
- 遺伝と環境要因の影響の多変量解析
- 認知言語学の観点からの言語の多様性についての統合的理論の構築
- ノンバーバルな視覚コミュニケーション
- 眼球運動と視認成績との連関
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統合言語科学部門 (リーダー:Christine
LAMARRE)
普遍性と多様性という相反する二面性を持つことこそが言語の本質であり、そのいずれかの側面のみを強調する研究は必然的に言語の実態を捉え損なう。本部門
は、多言語の精密な記述による言語データを最新の言語理論の枠組みで分析することを通して、自然言語の普遍性と多様性の科学的解明をめざす。データに観察
される相違の背後にある言語横断的な共通点を洗い出すと同時に、言語ごとの相違の現れ方を説明するパラメータをさぐる。さらに、言語横断的な共通点を支え
る生物学的・認知的基盤は何か、言語ごとのパラメータに関わる認知的・文化的基盤は何か、理論的検討を行う。「ヒトはなぜ言語を持ち得たのか」という問い
に対し、「ヒトが持っている言語とはどのようなものか」という側面からアプローチしていくことになる。
2007年度プロジェクト
- 空間移動の言語化に関する対照研究
- 態現象・他動性現象における受益と被害の普遍相と個別相
- コンパクション駆動意味合成理論に関する研究
- 日本語と朝鮮語の対照研究
- 談話と文法:成人の言語使用と子どもの文法・談話能力の獲得
- 中国語の全称詞 (Universal Quantifiers) 構文に関する認知言語学的研究
- 音韻論における理論的および実験的研究の進展
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計算言語科学部門 (リーダー:加藤恒昭)
自然言語のコンピュータによる形態・統語・意味解析、人とコンピュータの間の自然言語を用いたコミュニケーションの可能性、言語獲得のコンピュータによる
モデル化を通じて自然言語のコンピュータ的理解をめざす。「コンピュータはどのように言語を用いうるか」を見ることで、ヒトの言語の特質を明らかにすると
同時に、実装可能な言語解析プログラムのあり方をも明らかにする。
2007年度プロジェクト
- 動詞語彙概念構造レキシコンの構築
- 状態変化事象の表現としての結果構文
- 言語コーパスに内在する大域的性質に関する研究
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認知発達臨床科学部門 (リーダー:開一夫)
言語をはじめとする認知能力は乳幼児期を通じて多様な発達を示す。本部門では、「ヒトはなぜ言語を持ち得たのか」という問いに対し、「子どもはどのように
言語を獲得していくのか」、「言語発達は他の認知発達とどのような関係にあるのか」、そして「どのような要因が言語獲得を阻害するのか」を解明する。ま
た、認知機能の発生、成立要因について「自閉症」「ウィリアムズ症候群」「統合失調症」など認知機能の障害事例を通じてアプローチする。
2007年度プロジェクト
- 社会的認知機能の発達メカニズムに関する研究
- 精神病理の発生メカニズムと治療的介入についての認知行動アプローチ
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