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シンポジウム
「語彙概念構造辞書の構築と応用」
日時 2005年3月23日(水) 
9:30-17:10
場所 東京大学駒場キャンパス
アドミニストレーション棟 学際交流ホール
参加費: 無料
日程
9:30- 9:45 開会挨拶
9:45-10:45 チュートリアル講演
          語彙概念構造とは
          伊藤たかね(東京大学)
10:45-11:00 休憩
11:00-12:00 特別講演 語彙概念構造研究の最前線
          擬態語(オノマトペ)動詞の意味と統語を中心に
          影山太郎(関西学院大学)
12:00-13:30 昼休み
13:30-15:10 プロジェクト報告
          実証的な語彙概念構造辞書の構築に向けて
          加藤恒昭(東京大学)
          言語処理を意識した語彙概念構造の構築
          竹内孔一(岡山大学)
15:10-15:30 休憩
15:30-16:50 研究報告
          Generative Lexicon の枠組みに基づく名詞の概念辞書の構築
          高橋 幸(熊本大学)
          語彙概念構造で表現できる言い換え
          藤田 篤(奈良先端科学技術大学院大学)
          LCS と動詞の多義性
          畠山真一(東京大学)
          動詞識別テストとしての「てある」構文の有効性
          坂本 浩(東京大学)
16:50-17:10 閉会(ラップアップ)
発表要旨(発表順)

語彙概念構造とは
○伊藤たかね(東京大学)
語彙概念構造(LCS)は,基本意味述語を用いた意味分解によって述語(主に動 詞)の辞書的意味を表記する。この講演では,LCS分析になじみのない方を聴 衆として想定し,動詞の意味クラス抽出,その動詞が現れる統語構造の予測な どにLCS分析がどのような形で貢献するかを概観する。

擬態語(オノマトペ)動詞の意味と統語を中心に
○影山太郎
(関西学院大学)
語彙概念構造は単に1つ1つの動詞の辞書的意味を表示するだけではない。それを基にして,より複雑な述語が形成され,更に主語や目的語などの意味構造を取り込んで文全体の概念構造へと展開していく。この発表では,語彙概念構造から文構造への展開を,「キョロキョロする,ドキドキする」といった擬態語動詞で例示し,概念構造理論の有効性および意味と統語の対応関係を検証する。時間があれば,動詞が固有に持つ前提や動作目的といったクオリアを語彙概念構造に組み込む方法も提示したい。

実証的な語彙概念構造辞書の構築に向けて
○加藤恒昭,畠山真一, 坂本浩, 伊藤たかね
(東京大学)
アンケートによるデータ収集を基本として,日本語和語動詞約1000語についてのLCS辞書構築を試みている.データ収集のためのアンケート設計,収集されたデータの傾向や辞書構築のための後処理について報告する.

言語処理を意識した語彙概念構造の構築
○竹内孔一
(岡山大学)
語彙概念構造の構築により名詞と動詞の係り関係を整理して構文解析から意味解析への橋渡しを行なう基礎データの作成を目指している.体系化のアイデアならびに項構造と表層格との対応の問題について述べる.

Generative Lexicon の枠組みに基づく名詞の概念辞書の構築
○高橋幸
(熊本大学),李相穆,佐藤滋(東北大学国際文化研究科)
語形成や多義性の問題を扱う上で,辞書に名詞の概念情報を規定する必要性がある.我々は,Generative Lexicon(GL)の枠組みによって辞書を構築し,それを基に文の意味を解析するシステムの開発に取り組んできた.本発表では,GL 辞書の構造と言語処理における有効性について述べる.

語彙概念構造で表現できる言い換え
○藤田篤,乾健太郎,松本裕治

動詞の意味的な特徴に基づいて説明できる規則的な言い換えをいくつか取り上げ,竹内ら(2002)が提案する日本語動詞の語彙概念構造(LCS)体系に基づく説明を与える.また,Dorr(1997)が提案する英語動詞のLCS体系と比較し,言い換えに有効な意味表現形式について検討する.

LCS と動詞の多義性
○畠山真一, 坂本浩, 加藤恒昭,伊藤たかね
(東京大学)
本発表では,LCS を意味表示のフォーマットとして利用する語彙的意味論にとって,動詞の多義性を如何にして扱うべきかという問題について論じる.

動詞識別テストとしての「てある」構文の有効性
○坂本浩, 畠山真一, 加藤恒昭,伊藤たかね
(東京大学)
「てある」構文を容認する動詞は対象の状態変化や位置変化を含意するといわれている。本発表では、多数の動詞についての2回のインフォーマント調査を基に「てある」構文の構文的特徴を示し、動詞の語彙概念分析において取り組むべき課題を指摘する。